アロマテラピーといえば「エッセンシャルオイル(精油、アロマオイル)を嗅いで、リラックスやリフレッシュなど様々な効果が得られるもの」といわれます。その他にもエステやトリートメントなど様々な用途に使われます。
最近では一般的になり、生活の中で取り入れている方も多いでしょう。そこでアロマテラピー検定1級を持つ私が、アロマテラピーの本当の効果や選び方、特に匂いを嗅ぐ効果について解説します。
エッセンシャルオイルはどんな効果がある?
まず、エッセンシャルオイルと精油は同じ意味の植物成分100%で、アロマオイルは混ぜものがしているものがあり100%ではないときにも使われます。アロマオイルは植物成分100%のときにも使われるので実際は明確に別れていないように感じます。この記事では100%のもの、精油として紹介します。
一般的によくいわれるのは、ラベンダーはリラックス効果がある、オレンジなどの柑橘系は気分を明るくする、ローズマリーは頭脳明晰や記憶力・集中力の向上としても有名です。
アロマテラピー検定の参考書には心身への作用として、身体の機能を活性化・強化する作用として強壮作用、神経系の働きを抑えてリラックスさせる作用として鎮静作用などの多数の効果があるとされています。
そして「精油が心身へ作用する経路(匂い)」として、精油の成分が鼻の中にある嗅覚をつかさどる細胞に付着して、その刺激が電気的信号(インパルス)に変換され脳に作用するとされています。説明はもっと複雑なのですが、かなりざっくりいうとこんな感じ。
と、参考書でも解説されていますし、例えば「ラベンダー 効果」などで精油の名前で検索すると、効果や作用が表示されます。参考書をはじめ、様々なサイトでも効果や作用が紹介されていますが、本当に効果はあるのでしょうか。
※参考:長谷川 由美(2016/6/1)「1回で受かる!アロマテラピー検定1級・2級テキスト&問題集」成美堂出版
精油の効果をうたうと違法
精油の効果や作用は上に書いたように、様々な媒体で紹介されています。しかし、精油を販売する際に例えば「不眠症に効果的」や「頭の回転を良くする」などと書いて売ると薬機法(旧薬事法)に違反する行為なのです。これを知らないサイトもあって、商品詳細ページに効能を書いて販売しているのもたまに見ますが、これは違法行為。
そう、精油の効果は認められていません。これだけアロマテラピーやアロマオイルが効果があると広まっていて、その効果をうたって販売すると違法になるのはおかしな話です。
本当に効果があるなら承認されても良さそうですが、少なくとも何十年も承認されていない。つまりそれは効果を確定できていない証拠ともいえます。
アロマテラピーはカレーと同じ?
例えば仕事帰りに近所からカレーの匂いがしたら、どこか懐かしいような故郷を思い出すような感覚を味わう人が多いかと思います。あるいは、昔好きだった人が付けていた香水と似たような香りを嗅いだときに、淡い感情を抱いたりとか。
私はその香りに対する個人の思い・捉え方みたいなのがアロマテラピーの効果の本質だと考えています。その証拠に多くのケースでラベンダーはリラックス効果が得られると説明されます。しかしラベンダーが嫌いな人も世の中にはたくさんいます。
そのラベンダーが嫌いな人は匂いを嗅いでリラックス効果を得られるか?
答えは、ただただ不快なだけでしょう。これが真実で、精油の効果は個人によって変わって、個人の趣味嗜好によって大きく左右されます。だから人によってはラベンダーが不快で、カレーの匂いがリラックスできる人もいる。(カレーはたとえです。)
さらにいえば状況によっても変わって、ラベンダーをどんな状況で嗅いでもリラックスできるわけではなく、食事中とかラベンダーをはじめ精油の香りは不向きで効果など得られないでしょう。飲食店で香水を振りまく人は迷惑がられます。
精油の効果を確定できない理由はここにあって、人によって効果が変わる、そのときの気分によっても結果が変わる、それじゃあとても”効果がある“とすることはできません。本当に効果があるならどんな状況でも誰でも一定の効果がないとおかしいわけですが、それが無理なのは誰でも理解できるところです。
正しい精油の選び方
私はおそらく50種類以上は精油を試していますが、残念ながら一つも効果が実感できたことはありません。少し前までうつ病だったので、効果の証明はしやすい環境でした。状況が改善されれば分かりやすいため。しかしそれでも一つも効果はなかったのです。(防虫など香りを嗅ぐこと以外には効果を実感しています。)
ではなぜ続けているのかというと、単に好きだからです。「好きな匂いを嗅ぐのが好き」、これがアロマテラピーの真理です。リラックス効果を得られるのも、好きな匂いを嗅いでいるから。どんなにリラックス効果があるとされる精油だろうが、その人が嫌う匂いなら効果はない。
だから正しい精油の選び方、それは「好きな匂いを選ぶこと」。効果うんぬん紹介されますが、それは無視しましょう。店頭などで実際に嗅いでみて、感覚的に好きだと思ったらそれが自分に合った精油です。リラックス効果がある、気分が明るくなる、こんな効果を信じて精油を使い続けたところで結果は期待できません。それは国が証明しているともいえます。
ただし例外も
ここまでは匂いの効果は不確かだと書いてきましたが、すべての精油で効果が得られないとは断言できず”効果があるものもあるかもしれない”とはいえます。ただそれだと危険性や副作用も高くなると思うので、医薬品などに認可される可能性が高いでしょう。
また、アロマテラピーは皮膚への効果を期待するものは多いですが、これは効果の証明が容易なので割と信用できるかと思います。古来より植物はやけどや皮膚疾患に対する治療に使われてきましたから、植物の成分を濃縮した精油は同様の効果を期待できるでしょう。
あと、ティートゥリーやラベンダーの抗菌効果も証明研究があるようですし、他にも”G”に対してクローブバッドやペパーミントを垂らすと一目散に逃げるなどもよく聞くので、防虫などには効果があると思います。
アロマテラピーの本質
精油を販売するときに効果をうたえないことから、現状では匂いを嗅ぐことに対する確実な効果がないことは明白です。効果について様々な媒体で紹介しておきながら、その効果の証明が認められていないのは矛盾といえます。香りの好き嫌いで効果が別れるのは、その程度の効果だということ。
ただ、アロマテラピー自体は植物の力を借りるという理念に基づいていて素晴らしいと思うので、
好きな匂いを嗅いで自身に役立てる。
これが(香りを嗅ぐ)アロマテラピーの本質、本当の効果です。リラックスできると思える香りを嗅ぐ、やる気が出るような香りを嗅ぐ、頭が冴えるような香りを嗅ぐ、自分がそう感覚的に判断できるものをその用途で使う、そうして活用するのが正しい利用方法だといえるでしょう。
以下は私が愛用しているアロマディフューザーのレビュー記事です。